先行研究を読むときにわからないワード

resting-state functional connectivity (RSFC)

安静時 fMRI による運動関連領域間神経結合の解明 林 俊宏

通常の脳機能画像法では単なるベースラインとして扱わ れる安静時にも脳は活動を休止しているわけではない.安静 時の BOLD(blood oxygenation level-dependent)信号の低周 波性(0.1Hz 以下)のゆらぎ成分に着目すると,両側運動野の 信号に時間的相関関係があることを 1995 年に Biswal らが示 し,安静時の信号にも自発的脳活動に由来する機能的結合の 情報がふくまれていることが示唆された.この安静時の低周 波性ゆらぎ成分は信号自体が微弱であり,かつ呼吸・心拍な どの生理学的雑音も同周波数領域に混入しやすいなどの技術 的困難もあり,その応用はすぐには普及しなかった.2004 年に Greicius らがアルツハイマー病患者の安静時の fMRI に て健常対照群と比較して前頭葉内側面・頭頂葉内側面楔部 (default mode network)・海馬の機能的結合の低下を認めた との報告を契機に再度注目されるようになった.安静時のfMRI に よ る 機 能 的 結 合 の 評 価 は resting-state functional connectivity MRI(rs-fcMRI)とも呼ばれるようになり,様々 な神経・精神疾患を対象とした臨床研究もおこなわれつつある.ここで,従来の rs-fcMRI 研究は背側視覚系,腹側視覚系, 体性感覚・運動系, そして default mode network といった, 大域的神経ネットワークの活動をみるものが主であり,より 詳細な機能的結合の情報を抽出するのは困難であった.また rs-fcMRI で観察されるところの機能的結合の機序は解明さ れておらず,それらが実際の神経結合と合致するものかも不 明であった.演者はここ 10 年来おこなってきたサルをモデル 動物とした fMRI 方法論開発研究を基に,麻酔下サルでの rsfcMRI の方法論開発をおこなった.

Brain Connections – Resting State fMRI Functional Connectivity

ROIs

ROIの抽出方法

学術記事:Region of interest analysis for fMRI